本を一冊、電車の中で読み進めていたものが読み終わった

アンソニー・ホロビッツのカササギ殺人事件の上下巻の上だ

各登場人物の事件が起きるまでの日常が冒頭にあり、事件をきっかけに日常のなかで交錯していた登場人物どうしの恨みや嫉みがより複雑化し、推理の奥行きを広げた構成で読者をどんどん深みへと誘う。


しかし、ミステリーの世界にばかり浸ってもいられない

朝4時半に起床した私は、寝ぼけ眼で寝癖を直しながらその日の予定を憂いた

新品の自動シェーバーで顎を撫で、顔を流す

着なれぬスーツに着せられ、重い足取りで食堂へ

朝食まで30分。本を広げる

「今日は本社で入社式ですか?」食堂のお姉さんが問う

「えっと…」私が本を閉め、スマホを取り出し調べようとしたところ

「いえいえ!そこまでしていただなくて大丈夫ですよ」と


朝食を食べ終え、駅へと歩き、ホームへつく。本を広げる

電車にのり、本を広げる

電車を降り、バス停を探す。ちょうど目的地へ向かうバスが止まっているのが視界にはいる。

私は小走りでバスへ乗って、着席するとまた本を広げた


目的地でバスの真ん中からそそくさと降り、大きな会社へと足を運ぶ

まだ集合時間まで1時間ある

身近にあったふかふかの椅子へ座り、また本を広げた


入社式が終わり、お家へ着くと19時だった

きっとこれが社会人だ


私は明日、何を読もうか